春日大社第六十次式年造替「奉祝黒川能公演」
11月13日(日)
 13時30分開演
あらすじ

○能「野守(のもり)」

出羽の羽黒山の山伏(ワキ)が、大和春日野に立ち寄ると、由緒のありそうな池を見つける。山伏は、通りかかった野守の老人(前シテ)に尋ねると『野守の鏡』という名だと教える。それは、自分たちのような野守が鏡の代わりにするからそう呼ばれているが、本当の野守の鏡とは鬼神が持っているからだと教えられる。山伏は「箸鷹の野守の鏡…」という古歌を思いだして尋ねる。老人は、それもこの池水を詠んだもので、昔、帝が鷹狩りのおり、鷹の行方を見失って探したとき、野守が水中に鷹の姿があることを教えた。それは木の上にいた鷹の影が写っていたもので、鷹の行方がわかった事から詠まれた歌だと語る。山伏が本当の鏡を見たいというと、老人は水鏡を見よと言って、塚の中に姿を消す。〈中入〉
山伏が祈っていると、鬼神(後シテ)が鏡を持って塚の中から現れ、鏡に天地四方八方、天界から地獄までも映して、山伏に見せると、大地を踏み破って地獄へ帰ってゆく。



○狂言「末広(すえひろ)」

果報者(シテ)が来客への進物用に『末広』を買い求めるため、太郎冠者(アド)を都へ使わす。末広が何であるかを知らない太郎冠者は「末広がり買おう」と呼び歩いていると、都のすっぱ(詐欺師/アド)に呼び止められ事情を聞かれる。太郎冠者を田舎者と見てとったすっぱは、言葉巧みにだまし、古傘を末広と偽って売りつける。確かに傘は末広がりの特徴を備えていた。高値で傘を求めて帰ると、主人は『末広』というのは扇の事だと厳しく叱る。太郎冠者は、すっぱに主人の機嫌の悪いときの囃子物を教えてもらった事を思い出し、「傘をさすなる春日山…」などと面白く謡い舞う。立腹していた主人の機嫌も次第に直り、ついには浮かれだして主従仲良く謡って囃し回る。



○能「大瓶猩々(乱)(たいへいしょうじょう)」

中国は金山の麓に高風(ワキ)という酒売りが住んでいた。彼は、とても親孝行であったため、次第に裕福になっていた。また、何処からか童子がよく酒を飲みに通ってくるので不審に思っていた。ある日、一人の童子(前シテ)が酒を飲みにやってきた。今日こそは名前を聞こうと思って尋ねると「瀋陽の河辺に住んでいる猩々という者である」と名乗り、高風の孝行を称え、汲んでも尽きない酒壷を与えようと言って市人に紛れ立ち去った。〈中入〉
高風が瀋陽の河辺に行ってみると、大勢の猩々(後シテ・ツレ)が現れ、大瓶の酒を飲み舞ったりしている。そのうち猩々たちは一度酔い伏すが、やがて醒め、高風の人徳を称え、酒壷を与えて帰っていった。



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