祈願祭タイトル
|開催日|2020年11月3日[火・祝]|会場|大阪・道頓堀川
11月3日、文化の日に大阪・道頓堀で「日本の劇場文化 復活祈願祭」
(主催・株式会社3Top/株式会社セクターエイティエイト、大阪府・市等の後援、地元企業の協賛、協力)が行われた。

祈願祭1
kigannsai 歌舞伎俳優の市川海老蔵が、「東京と大阪の劇場が発信することで劇場文化の活力を全国へ大きく広げたい」という思いを込めたイベントで、道頓堀川に乗り出した特設の船上舞台で創作舞踊「迦具土之舞(かぐつちのまい)」を披露した。
古事記を題材に須佐之男命の物語を歌舞伎化して自主公演で初演した演目「SOU〜創〜」から、火の神々の力を得た須佐之男が悪心(あくしん)退治を遂げる勇壮なシーンを再構成した。笛や小鼓など囃子方の演奏で、火の神へと変身して刀を手に見得を決めるなど迫力満点で、あたかもコロナ退治に挑んでいるかのようだった。
 海老蔵は「ぜひ劇場へ足を運んでいただけますようにお願い申し上げます」と口上を述べ、とんぼりリバーウォークイベントエリアに集まった人たちから大きな拍手を受けた。この企画に賛同した関西の伝統芸能、舞台芸能役者ら10人以上が2隻に分乗し、それぞれの思いを口にした。海老蔵の長女の市川ぼたんと長男の堀越勸玄も父と共に同乗、「よろしくお願いします」と挨拶して和ませた。
事前の記者会見で、人間国宝の能楽シテ方観世流の大槻文藏は「まだまだ劇場へ集まることへの恐怖を持っておられる方が多くおられますが、本来、芸能は心を和らげる役目を持っております」。
人形浄瑠璃文楽座・人形遣いの桐竹勘十郎は「江戸時代から江戸三座、道頓堀五座あり、芝居でにぎわった場所です。様々な劇場文化がありますが、コロナで失うことも下火になることも許されない。生でご覧いただくのが一番でございます。戻って来て頂きたいと切に願っております」。
日本舞踊・上方舞の山村流六代目宗家家元の山村友五郎は「立方(舞踊家)だけでできるものではありません。地方(演奏者)や衣装、床山、照明など裏方がいて成立しますが、何もできなくて止まっております。一日も早く、皆さまの前でご覧いただける日を待ち望んでいます」。
落語家の桂米團治は「上方がしっかりしないと芸能がつぶれるよと海老蔵さんが企画を持ち込んで下さり喜んでいます」。
海老蔵は「早く楽しんで頂く環境になって欲しいですし、大阪のみならず日本の祭りなども含めて伝統芸能の復活、盛況を願っております」と話していた。
演舞は7分ほどだったが人が集まり賑わう感覚は祭りの後の日常とは異なる高揚感が残った。イベント後、国立文楽劇場で9か月ぶりに開幕した文楽公演・第3部「本朝廿四孝」を観劇し、桐竹勘十郎が遣う八重垣姫のしなやかさと迫力に魅了された。観客の表情もにこやかで、心が豊かになったような幸福感に包まれた。やっぱり生はいい。でも今はまだ、マスクと消毒を忘れず、密を避け、大きな声で話さないというルールは守らなければいけない。


◆みつ恵の演劇の楽しみ◆(2020年11月5日)(演劇ライター 前田みつ恵)
祈願祭3

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