狂言とは・・・


狂言は能とほぼ同じ頃に発生し、この対照的な二つの演劇はセットで演じられることが多く、幽玄の世界から笑いの世界へと観客の心をリラックスさせてくれます。登場人物は能と違って貴族や歴史上の人物ではなく、底抜けに明るい太郎冠者を主とした親しみやすいキャラクターで、当時を描いた笑いには現代に通じるものがあります。その頃の日常的な話し言葉を使っているので内容もわかりやすく、能と共に歩んだ長い歴史のなかで洗練された「笑いの芸術」といわれています。本狂言の他に、能の間で解説的な役割をする間狂言や、祝言の式で演じられる「三番三(三番叟)」(さんばそう)など特殊なものもあります。

歴史



奈良時代に中国から渡来した「散楽」(さんがく)が、日本化して平安時代に「猿楽」(さるがく)となり鎌倉時代を通して悲劇的な歌舞劇である「能」に対して、猿楽本来の笑いの要素がせりふ劇となり「狂言」が生まれます。そうして能との組合せによって発展し、中世庶民の間に滑稽・物真似の笑いをまき散らし、冗談や洒落を本位とすることなどにより笑いの度合いを次第に高め、洗練された芸能になります。 室町時代の後期に大蔵流・和泉流・鷺流が成立します。幕府直属に大蔵流・鷺流、尾張徳川藩と宮中に和泉流が勤め、江戸の混乱期を経て鷺流は廃絶します。その後大正・昭和と時代の荒波をくぐりぬけ、現在は和泉流、大蔵流の二流が活動しています。



大蔵流 「三番三」





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