作り物・道具

演能のたびに新しく作り、解体されるもので、竹を主要材料として簡素に骨格のみを形づくり、釘を用いず物によってはボージという白布やコーダンという赤地の絹布等を巻いて作られます。
据え道具と手道具に大別され、据え道具は、演能の開始時や中入りの時等に後見があらかじめ舞台上に設置されます。
※【船弁慶】の“舟”のようにアイ自身が持ち出す場合もある。

■作り物 (例/車・鐘・山・宮・立木台・一畳台など)





立木台
一畳台









■手道具

手道具は主に人物が携帯しているものです。
※杖は演者の身長にあわせて長さをはかるという建前から作り物とされています。
これらは、主にシテの能楽師によって作られ、昔は「作り物師」という専門の役がありました。各流派によって厳密な作り方が伝えられています。

[杖]

[文]

(例/杖・文・枕・竿など)


小道具

あらかじめ作られて保存され、何回も用いられるもの。 大別すると演者が身につける帯道具と手に持つ持ち道具があるが、次の5種類にも分けられる。


■採り物類

それを持つことで一種の呪術的な
力が備わる。

[扇]

[羽団扇]

(例/扇・羽団扇など)


■打ち物類

武器に準じるもの
(例/太刀・長刀・鎌など)

[長刀]

[鎌]

■捧げ物類
ワキやシテに捧げられるもの
(例/宝球・鏡など)


■法具・楽器類

法具・楽器類

■雑類(上記以外の物)

(例/葛桶・手かご・花筐など)


狂言の作り物・道具
狂言の作り物は手道具は能より種類が豊富ですが、据え道具は桜の立木(花盗人)、大屋台(蚊相撲)、塚(蜘盗人)など数が少なく、小道具は葛桶は能では主に腰をかける床几として扱われますが、狂言では桶や蓋だけを杯にするなど幅広い用途で使用されます。

■小道具
●扇
狂言の道具の代表格で、登場人物は必ず携帯し広げて杯にしたり身を隠したり、のぞき見をしたり等幅広い用途で使われる。
●その他
法螺貝(ほらがい)、小刀、竹杖など多種類あるが、いずれも単純な道具が効果的に用いられるのが狂言独特の雰囲気を演出する。

●葛桶
(かずらおけ)
黒漆塗りの蓋つきの桶で主に腰掛けに使うが、「千鳥」では酒樽、「柿山伏」では柿の木など用途は多岐にわたる。

杯の代わりにも使用される葛桶の蓋

葛桶


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