能とは・・・



能は約600年の歴史を持ち、舞踏・劇・音楽・詩などの諸要素が交じりあった現存世界最古の舞台芸術です。主人公のほとんどが幽霊で、すでに完結した人生を物語る、それが中心になっている不思議な演劇です。幽霊というと怖い内容のように思われるかもしれませんが、そうではなく時代や国によっても変わることない人間の本質や情念を描こうとしているのです。また、ギリギリまで省略された1つの動きの中にはいくつもの内容が込められ、一見無表情な能面には幾通りもの表情が隠されているのです。能は日本人が創りだし、長い間日本人が見続けてきた舞台芸術です。能に対する先入観を捨てて素直な気持ちで能に接してみてください。

歴史



能の起源は定かではありませんが、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈る民族芸能や田楽(でんがく)、物まね芸能の猿楽(さるがく)、中国から伝わった散楽(さんがく)などが、互いに交流、影響しあって徐々に発展していきました。南北朝時代になると、大和猿楽の観阿弥(かんあみ)が将軍足利義満に認められ、京都へ進出しました。観阿弥は物まね本位の猿楽能に音楽性・舞踏性の要素を取り入れ、その子世阿弥(ぜあみ)は幽玄美を追求する夢幻能を確立させ、能をさらに高度な舞台芸術に育てました。江戸時代になると、能は武家の式楽として幕府に保護されました。幕府崩壊後は明治維新や戦争などの数多くの混乱を乗り越え、今日に至っています。



絵巻 春日若宮神社前の猿楽(薪御能)


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