種類




能の現行曲(今日演目と認められているもの)は、240曲ほどです。
江戸時代に徳川幕府の式楽となり、公的な催しの演奏が“翁付五番立(おきなつきごばんだて)”と決定されてから、現在でも五番立ての分類法が用いられています。詳しい分け方としては不十分ですが重宝されています。

※現在、一日のプログラムを五番立てで編成することはほとんどありません。


一番目物
(脇能物・神能)
神をシテとした天下泰平・国土安全等、祝言性のあるもの。
例:
高砂(たかさご)
賀茂(かも)等
二番目物
(修羅物)
主として修羅道におちた武士の亡霊がシテで戦の責苦を訴える。
例:
清経(きよつね)
屋島(やしま)等
三番目物
(鬘物-かづらもの)
主に女性をシテとした〈幽玄〉色の濃い、歌舞中心の優美なもの。
例:
井筒(いづつ)
松風(まつかぜ)等
四番目物
(雑能)
他の分類に属さない曲が集められ、狂乱物や執心物など文学的主題が濃厚なものが多い。
例:
隅田川(すみだがわ)
恋重荷(こいのおもに)等
五番目物
(切能・鬼能)
主に人間以外の鬼・天狗・妖精などをシテとしたフィナーレ用の能。豪快で初心者にも親しみやすい曲が多い。
例:
船弁慶(ふなべんけい)
石橋(しゃっきょう)等


■略式演奏

完全な方式で能を演ずる他、多くの省略方式があります。
  • 半能(はんのう)/1曲の後場だけを上演。
  • 袴能(はかまのう)/面・装束を用いず、紋付・袴のままで舞う。
  • 舞囃子(まいばやし)/1曲の主要な部分を、紋付・袴で地謡と囃子によって舞う。
  • 仕舞(しまい)/舞囃子より更に短い部分を、紋付・袴で囃子はなく地謡のみで舞うのが特徴。
  • 素謡(すうたい)/紋付・袴で着座したまま、役を分担して一曲を謡う。※囃子はなし
  • 番囃子(ばんばやし)/素謡に囃子を入れたもの。


■役柄

シテ方以外のワキ方・囃子方・狂言方を総称して〈三役〉といい、
江戸時代には各流派に専属の三役がありましたが、現在は独立した活動をしています。


シテ方 観世(かんぜ)流・宝生(ほうしょう)流・金春(こんぱる)流
金剛(こんごう)流・喜多(きた)流
ワキ方 福王(ふくおう)流・高安(たかやす)流・宝生(ほうしょう)流
狂言方 大蔵(おおくら)流・和泉(いずみ)流
笛 方 一噌(いっそう)流・森田(もりた)流・藤田(ふじた)流
小鼓方 幸(こう)流・幸清(こうせい)流・大倉(おおくら)流
観世(かんぜ)流
大鼓方 葛野(かどの)流・高安(たかやす)流・大倉(おおくら)流
石井(いしい)流・観世(かんぜ)流
太鼓方 観世(かんぜ)流・金春(こんぱる)流

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